クラミジアの分類について
オウム病もクラミジア・性病もクラミジア・眼病もクラミジア。
クラミジアという名前は耳にしたことがある方は多いと思います。
ただ、オウム病の原因がクラミジア菌と言うことは知らない方も多いのではないでしょうか?

でも、鳥を飼っているから性病になるか?眼病になるか?
・・・そんなことはありません。実はクラミジアにもその中に色々と種類があり、感染する場所・
動物など違うのです。

鳥に関係するのはオウム病の原因とされる「クラミジア・シッタシChlamydia psittaci」
のみです。南米産のオウムから感染し死亡者が出たために一躍有名になりました。

一般的には急性呼吸器感染が主です。症状は突然の高熱、悪寒、頭痛で発病。また、だらだらと
治らない風邪みたいな症状の場合等。
有効な抗生物質があるので適切に投薬すればちゃんと治る病気ですが診断ミスで有効な治療がされず
重篤になったり死に至るケースもあるようです。風邪が長引いて治らない。医師にかかって薬を
貰っているのに効いていない。不潔な環境にし、鳥と濃密な接触をしている・・・など心当たりが
ある場合は医師に鳥を飼っている旨を伝えて、きちんと検査して貰いましょう。

検査結果、人間に陽性反応が出た場合は鳥もきちんと検査に出しましょう。そしてもし鳥にも陽性
反応が出ても、適切に治療すれば鳥も治ります。
オウム病(クラミジア・シッタシChlamydia psittaci)は人間も鳥もきちんとした治療で
治る病気です。(根治は別ですが・・・(^^;))
病気だからと鳥を野に放す、殺すなど無責任なことはくれぐれもなさらないでくださいね。

鳥のクラミジア検査ですがクラミジアはかなり小さい菌なので通常の顕微鏡検査などでは見つけ
られません。ですので獣医の元に連れていってもその場で発見することは出来ませんので検査は
獣医で糞や血液などを採取し専門の検査機関に出すことになります。獣医師が検査機関と契約して
いればクラミジア検査を取り扱ってくれると思います。検査をご希望の場合は、かかりつけの獣医
にまず問い合わせてみましょう。検査結果が出るまでには通常2週間ほどの時間を要します。

また、鳥と妊婦がよく取り沙汰されます。よく人畜共通の病気で妊娠中に問題になるのは「トキソ
プラズマ」ですが、鳥からトキソプラズマは感染しません。

ただ、妊婦は妊娠5ヶ月で主にクラミジア・トラコーマ検出を目的としたクラミジア抗体検査を
受けると思うのですが(私は受けた。)実は産婦人科医に問い合わせた所、「クラミジア・シッタシ
でも強く抗体が陽性に出ている人ならその検査で陽性反応が出る」と言うことでした。
クラミジア・トラコーマのように産道感染で新生児結膜炎にしたりという悪さはしないかもしれ
ませんが出産後に「赤ちゃんがママから2次感染」したり、愛鳥が感染源だった場合ママの治療が
済んでいても「鳥から赤ちゃんに空気感染する可能性」は充分考えられますので、妊娠5ヶ月時の
検査で陽性結果が出た場合は必ず愛鳥も検査を受けることをお勧めします。
たとえ陽性でもクラミジアだと分かっていれば適切な投薬がなされますから赤ちゃんが産まれる
までにママも愛鳥もきちんと治療できます。
ちなみにママの治療方法はトラコーマもシッタシもかわらなそうです。
(広島県 長尾クリニック院長先生。ありがとうございました。)

また、周囲の理解を得るためにも、これから妊娠を望んでいらっしゃる方やお子さんがいらっしゃ
る方は愛鳥のクラミジア検査はしておく方がいいと私は思います。
(我が家でもさんざん親に言われましたが陰性結果の証明書見せたら言われなくなりました(苦笑)
人畜共通感染症は他にもありますが、私の親世代にはオウム病はすぐに死に至るとっても怖い病気
・・・・と思われている模様。)


2003年追記
東京都健康局のクラミジア担当の方のお話しですと、昔のクラミジア・トラコーマの検査方法では
確かにシッタシで20%、ニューモニエで5%のクロスがあったそうですが、現在東京都保険局で行って
いる方法では理論上クロスがないそうです。
(ようはクラミジア・トラコーマしか検出しない。)ただ、検査機関によりまだシッタシも検出する
検査方法をとっているところもあるだろうとのことでした。
いやもう私が検査してから10年ぐらい経っちゃってますから・・・(^^;)
医学は常に進歩してますね。
以下は色々なHPを参考にして作成したクラミジア分類図です。 以前、眼病クラミジアトラコーマに罹り、鳥のせいだとおっしゃっていた方がいました。下の図を 見ていただくと分かるように、トラコーマは人−人感染です。 クラミジアに感染してもあわてず、きちんと原因を探り適切に対処して下さい。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− クラミジア分類 ■クラミジア属シッタシ種Chlamydia psittaci(オウム病クラミジア) 感染経路 鳥類・ほ乳類−人 急性呼吸器感染症が主 ■クラミジア属ペコロム種Chlamydia pecorum 1992年 感染経路 人には感染しない。 ウシ・ヒツジ・ブタ・コアラ ■クラミジア属ニューモニエ種Chlamydia pneumoniae 1989年(肺炎クラミジア) 感染経路 人−人(空気感染が主) 肺炎、気管支炎などの呼吸器感染症の主要な原因菌 動脈硬化や虚血性心疾患の増殖因子である可能性も示唆されている。 ■クラミジア属トラコマティス種Chlamydia trachomatis(トラコーマクラミジア) 感染経路 人−人(接触感染が主)3つの生物型に分けられ,さらに18の血清型に分類 (血清型 B,Ba,D,D',E,G,F,L1,L2,L2',L3,A,C,H,I',J,K)  ●バイオタイプ トラコーマ           ▼伝染性の慢性角結膜炎   血清型A-C            封入体性結膜炎(小児・成人)           ▼泌尿生殖器・新生児結膜炎 血清型D,E,F,G,H,I',J,K(D,E,Gが多い)  ●バイオタイプ 性病性リンパ肉芽腫(LGV)  血清型L-1, L-2, L-3           日本ではあんましみないらしいです。  ●バイオタイプ マウス(人間に病原性がない) pecorumを除く3種は国立感染症研究所病原体等安全管理規定レベル2 個体に対する中等度危険度、地域社会に対する軽微な危険度 ヒト或は動物に病原性を有するが、実験室職員、地域社会、家畜、環境等に対し、重大な災害と ならないものの実験室内で曝露されると重篤な感染を起こす可能性はあるが、有効な治療法、 予防法があり、伝播の可能性は低いもの。とされている。 治療にはテトラサイクリン系薬剤・マクロライド系薬剤・ニューキノロン系薬剤・ が特に使われている。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 私は獣医師でも医療関係者でもありません。文献を見比べて作成しましたが記述に間違いを 見つけた方は是非ご指摘下さいますようお願いいたします。 2001.11.5 日向 忍

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